「前向きに検討します」の罠
その言葉を信じて待てど暮らせど、一向に次のアクションがない…。期待に胸を膨らませた商談は、今や「塩漬け案件リスト」の最上段で静かにホコリをかぶっていませんか?熱意もロジックも完璧だったはず。なのに、なぜお客様は動いてくれないのでしょうか。
この停滞した状況は、多くの営業担当者の自信を奪い、会社全体の売上計画に暗い影を落とします。この記事では、お客様がなぜ動かないのか、その根本原因を「3つのタイプ」に分解して突き止め、停滞した商談を再び力強く動かし始める方法をお伝えします。
営業の心を蝕む「検討します」の連続
定型文の返事
「社内で前向きに検討を進めております。もう少々お時間をいただけますでしょうか」いつも同じ返答が続きます。
歯切れの悪い対応
「今、別の案件が立て込んでまして…」「上長が出張中でして…」真偽のほどが定かでない理由が並びます。
空回りする努力
何度も訪問のアポを取ったり、追加の導入事例を送ったりしても、相手の反応は鈍くなっていくばかりです。
気づけば1ヶ月、2ヶ月が経過。期待していた売上は見込めず、月末の営業会議で役員から詰められるたびに、心臓はキュッと縮こまります。この報われない努力と精神的なプレッシャーが、優秀な営業担当者の心を静かに、しかし確実に蝕んでいくのです。
停滞の原因を「Will / Must / Can」で診断
お客様が動かない理由は、突き詰めれば、たった3つしかありません。病名が分からない患者に手当たり次第に薬を投与するのではなく、まずは正しく分析することから始めましょう。
1
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Will の問題
担当者本人が心の底から「それをやりたい」と思っていない状態。立場上検討はするものの、情熱や主体性がありません。
2
2
Must の問題
担当者は乗り気かもしれませんが、会社の計画や目標といった、より大きな「やるべきこと」のベクトルと提案が合致していない状態です。
3
3
Can の問題
やりたいし、やるべきだとも思っています。しかし、具体的な進め方が分からず、能力的な問題でフリーズしてしまっている状態です。
タイプ別攻略法で商談を動かす
01
Will問題:個人的な悩みの共同発見者になる
商品を売ることを一度完全に諦め、担当者個人の悩みや問題意識を一通り吐き出してもらいます。PowerPointやメモ帳で相手の発言を「見える化」し、信頼関係を築きましょう。
02
Must問題:会社の羅針盤を一緒に読む
会社全体の最重要課題や中期的な経営計画の方向性を確認し、「会社のMust」と「あなたの提案」の関連性を改めて考えさせるきっかけを与えます。
03
Can問題:お客様の手となり頭となる
やる気はあるのに動けない人には、具体的なアクションプランを一緒に作成します。画面共有でパワーポイントを開き、稟議書のドラフトまでその場で完成させてしまいましょう。
今すぐ「塩漬け案件リスト」を取り出し、一人ひとりのお客様がどの壁の前で立ち尽くしているか分析してみてください。そして次のアクションで、その分析結果に合わせたたった一つの質問を投げかけてみるのです。